隻眼会計士・税理士の視点

隻眼の会計士・税理士が書いているあれこれ

不幸にも隻眼となってしまった場合のライフハック

 片眼失明となる原因は様々でしょうが、多くの人はある程度の年齢になってから病気が原因で、ということかと思います(※1)。 そういえば、昨年(2018年)に他界した女優の樹木希林さんは網膜剥離で左目を失明していたとのことでした。

 ところで、先の記事で触れたように片眼失明だけでは障害者認定されるわけでもなく、じっさいのところ、片眼失明者がどのくらいいるかについては、このWebに情報があふれた現在においても、それらしきデータを探そうとしても簡単には見つからないので、良くわかりません。自分の場合は、幼少時に外的要因で失明に至りました。このような外傷による片眼失明者は、その絶対数(割合)としては少ないと考えますが、この日本において、毎年何人かは新たにそうなっているのはまず間違いないと思います。

 そういうわけで、原因として最も多いであろう、主に加齢による片眼失明の場合は‐これはこれで実は大変だと思いますが‐自分にはよくわからないので、幼少期に(あるいは先天的に)片眼失明となってしまった人というニッチに向けてのライフハック的なものを、以下2点、述べていきます。

 

学童期・思春期におけるいじめの原因となるのではないかという懸念について

 自分の経験談をもとに言うと…っていうか、こんなこと言わずともそもそもがこのblog自体、自分の経験に基づくものなので、そのあたりはご認識いただくとして、いじめにあったことはないです。ないといっていい。小学5年生ぐらいの頃一度だけ同級生にそのような言葉(「お前片目しかないくせに」といったようなもの)を投げかけれたことがあるけれど、そのくらい。そしてその時も、別の同級生が「そういうことを言ってはいけない」と強く非難し、結果、言葉を発した同級生から謝罪されたような記憶があります。

 理由。

 一つは、自分がケガをしたのが3歳という、幼稚園年少時であり、その幼稚園から多くが同じ小中に進んだことから、自分(=筆者)はそういうものであるということが広く認識されていた。つまりは、例えば顔に大きな痣があるね、というぐらいの感覚で、自分は片目が見えず、いかにもケガをしている目になっているのが同級生の中では当たり前になっていて、それをいまさら取り立ててどうこうする、という状況ではなかった。

 今一つ、こういうことを自分から言うのはなんだけど、特に小学校高学年から中学校にかけては、勉強ができた。そして、スポーツも人並み以上にできた。というわけで、取り柄があった。この流れで、高校は県内でも有数の進学校に行くことができ、そういった高校にいじめをするような人はまずいないので、高校でのいじめもない。そしてもちろん、大学生ぐらいになれば、外見でいじめるということはなくなる。

 いじめがなぜ発生するかという点につき、「いじめは自分では背負いきれない影=自分にとって異質なもの、受け入れがたいものを外部に投影することでスケープゴートをつくり出し、それを非難、攻撃することで一時的に心理的安定を得ようとするスケープゴート心理」によってもたらされる、というユング心理学的立場の見解(※2『いじめの心理と発達』)があります。自分も(ユング心理学に全く詳しくはないものの)この見解はおおむね妥当と考えるところ、自分の場合、異質であるのは間違いないけど、それがあまりにも突き抜けていた、あるいは周囲の慣れにより、このような心理状態を周りに作らせなかった、と考えています。

 というわけで、勉強を頑張るなり、なにか取り柄を見つけましょう。そうすれば、ふつーの環境下であれば、たとえ一部からいじめのターゲットになるにしても、それは局地的にとどまり、自分への協力者(仲間)がいるはずなので、全クラスから総攻撃されることはないと思います。もしそれでも総攻撃されるようであれば、学校を変えるしかない。この考え、認識が甘いかなぁ。確かに反証はいくらでも出てきそうではある。

 

就職について

 さて、学齢期時代は無事に乗り切れたとして、問題は就職です。これは、はっきりいって、ちょっと覚悟しなければならない。片眼失明であれば、どうしたって不利に働きます。実際問題、制限される職業が出てきます。自衛官にはなれない(※3)し、航空機パイロットはもちろん(※4) 、第一種大型・中型免許や準中型免許・けん引免許・第二種免許を取得することもできない(道路交通法施行規則第23条。また、一例として埼玉県警Webサイト※5)。そういった特殊といえる職業の他、見た目上の問題は避けがたいため、見た目が重視される職業に就くのもたぶん難しい。この点では「片眼失明者に障害者認定を」との主張が出てくるのはまあわかる。

 そして何より、自分は、経済系の学部だった大学生時代、ふつーに就職活動していて、とあるIT系企業に内々定をもらうも、その後「やはり健康診断の結果不採用という形で…」ということでそれが白紙になり、その時点で内定ゼロ、いわゆる無い内定ということになり、それがために、公認会計士試験を受ける決意をするに至ったわけです。大学4年時の6月6日。

 とはいえ、この点については、今から思えば、自分の現状認識が不足していた、といえるでしょう。多かれ少なかれ、人はそれぞれ不得手、ハンデみたいなものは持っているものであり、自分の場合は人よりそれがちょっと顕著だとしても、それを踏まえて活動しなければならなかった、あるいはもう少し早く進路を定めなければならなかった。ただそれだけです。逆境といえば逆境だろうけれども、特段乗り越えるのが困難な逆境ではなく、自分でどうにかなる類のものであった。それに、もう少し早く気づいて対策をしておくべきだった(もっと早いうちから国家試験を目指しておくとか、そもそも違う分野に進路を取っておくべきだった)ということです。

 ちなみに、自分の同級生で、片眼ではないけれど二つある体の部分のうちの片方を喪失した人がいて、このBlogを書くにあたって気になって検索してみたら、とある文系学問を修め、研究者の道に進み、その分野では確固たる業績を上げているようでした。

 というわけで、職業についてはある程度制限されるのはやむを得ないので、それを踏まえて対策を立てておきましょう。不貞腐れてはいけません。

以上